農林水産省の調べによると、食品製造業の出荷額は33.4兆円。これは、自動車製造業・化学工業に続く巨大産業です。しかし、それにもかかわらず食品製造業の生産性は製造業平均の約6割。なかでも食品製造業の過半数を占める加工型食品製造業の生産性は5割に留まっているのが現状です。
参照元:農林水産省 食品産業生産性向上のための基礎知識(pdf)(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/attach/pdf/seisansei-5.pdf)
ではなぜ、食品製造業・食品工場における生産性は上がらないのでしょうか。考えられる原因について考察してみました。
食品製造業の生産性が低い理由、そのひとつとして挙げられるのが「日本における食品製造業は、国際競争に晒されることなく国内市場のみで発展してきた業界」であることです。
戦後から人口が増加し続けてきた日本では、海外に目を向けずとも、国内市場を対象としているだけで売上は右肩上がりでした。人口増加と経済の発展に伴い、自然と食品の消費量も増加していったため、それに合わせて生産設備を導入するだけで利益が上がったのです。
しかし、日本の総人口は2004年をピークに減少傾向。人口が減れば、食品の消費量も上がることはありません。とくに高齢化社会が進む日本では生産人口・若年者人口が減ることで、1人あたりの消費量も減少。積極的な対策を講じなければ、今後さらに厳しい状況になっていくと考えられます。
参照元:農林水産省 食品産業生産性向上のための基礎知識(pdf)(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/attach/pdf/seisansei-5.pdf)
参照元:総務省 我が国における総人口の長期的推移(https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf)
日本の製造業の多くは、中小企業が必要な部品・素材を作成し、大企業によって最終製品がつくられるという仕組みになっています。
大企業の場合は早い時期から海外を視野に入れた生産努力を行っており、世界でも勝ち残れる業界になれるよう生産性や技術、品質管理の向上を目指してきました。そして、その知識や技術を下請けである中小企業にも指導することで、自動車産業・電器産業などは発展してきたと言えます。
しかし、食品製造業の場合は中小企業であっても食品工場施設・生産体制が確立しており、ひとつの企業だけで最終製品まで製造できるケースがほとんど。つまり、大企業が持つ技術やノウハウの指導を受ける機会に恵まれなかったのです。これも、食品製造業の生産性低迷の原因と言えるでしょう。
多くの製造業は明治以降に発展してきた産業ですが、食品製造業は比較的古い伝統を持っているのが特徴。企業によっては江戸時代から続いていることもあり、いわゆる職人気質の強い業界と言えます。
そのため、「古くから続く伝統を守らなければならない」という意識が強く、新しい技術や知識を取り入れることに消極的。もちろん悪いことではありませんが、生産性を上げるという意味では考えを改めるべき部分もあるのではないでしょうか。
これまで保守的であった食品製造業が生産性を高めるには、その体質を見直すことが大事。積極的に新しい技術を学び、自社に合うものを前向きに取り入れ、従業員にしっかりと教育を施すことが必要です。
ただ、自社にとってどの技術が合っているのか、抱えている課題解決にどの方法が必要なのかを判断するのは難しいもの。そういった面を踏まえ、農林水産省ではロボット・AI(人工知能)・IoT(Internet of Things)の導入支援、その技術をレクチャーするシステムインテグレーターとの接点づくりを支援しています。補助金を利用できるケースもあるため、前向きに検討してみるとよいでしょう。
参照元:農林水産省公式HP(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/seisansei.html)
生産性を上げるには、上層部や専門家からの意見だけでなく、現場で働く従業員の意見にも耳を傾ける必要があります。しかし、「何が問題なのかを挙げよ」「解決策を述べよ」と突然投げかけたところで、建設的な答えが返ってくる可能性は低いでしょう。
そこで重要となるのが、仕事に対しての問題意識を持ち、その解決策を見出せる人材の育成です。食品製造業の場合、業務内容を「付加価値を生む作業」「付加価値を生まない作業」に振り分ける視点が重要となります。
この視点を持って業務にあたると付加価値を生まない作業に気づくことができ、その解決策をおのずと考えるようになります。ムダをできる限り排除し、付加価値を生む作業を効率よく行えるようになれば、自然と生産性も上がっていくと考えられます。
先に従業員の育成について述べましたが、当然ながら経営者・上層部の意識改革も重要です。新しい技術・知識を積極的に学び、取り入れる姿勢を自ら見せていかなければ、従業員のモチベーションも上がりません。
そして、生産性を上げるために自社がどのような取り組みをするべきか、従業員と積極的に意見を交わしていく姿勢も大事。改革の組織体制を整備するために、専門のチームを設けるのも有効です。
ただし、大企業と違って中小企業でこのような専任チームを組むのは大きな負担となりかねないため、専門のアドバイザーを招致するといった支援策を講じることも視野に入れましょう。
株式会社アカネサス
北條氏
食品製造業とひと口に言っても、手がける素材や製品、ターゲットとする消費者などはそれぞれ異なります。新しい技術を取り入れて生産性を上げたいと考えているなら、まず自社にとって何が必要なのかを見極める目を持つことが大切です。
そこで大きな力となるのが、食品製造業・メーカーを専門とするコンサルタント会社。専門的かつ客観的な視点から必要な技術・ノウハウ・設備などを見出すことが期待できるため、利用してみるのもひとつの手段です。
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