食品工場のHACCPに重要な空調設備

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HACCP対応工場の空調・換気設備

空気中には様々な細菌やホコリなどが浮遊しており、またハエなどの害虫が存在する可能性もあります。そこで異物混入や食中毒菌の汚染といったリスクを回避するためには、適切な空調設備や換気設備を導入して工場内の気流をコントロールし、衛生的かつ安全性の高い製造環境を構築することが欠かせません。そのためHACCP対応の食品工場では空調・換気設備のプランニングが大切です。

空調・換気設備で注意すべきポイント

空調機器や換気装置を導入して、空気の流れをコントロールしてホコリや雑菌などを任意の方向へ押し流すとしても、例えば空調のダクトが露出しているとダクトの上部や吸い込み口にホコリなどが蓄積して、そこが雑菌の温床になったり、たまったホコリが固まって落下したりする危険性が増大します。

また送風口が開放状態では、そこが害虫や害獣にとっての新たな侵入経路になるかも知れません。加えて、ダクトから食品のニオイが漏れ出ることで、逆に害虫や害獣を誘引してしまう恐れもあるでしょう。

HACCP対応工場の空調・換気設備で検討すべき内容

空調機の設置方法

空調設備や換気装置、通風ダクトなどをどのような位置関係や方法で配置するのか、設置方法や配置場所を適切に考えることが必要です。

例えば通風ダクトは天井付近へむき出しにするのでなく、天井裏へ通してダクト上に汚れやホコリがたまるリスクを回避しなければなりません。

また換気扇や通風ダクトが害虫や害獣の侵入経路にならないよう、カバーを設置するといった工夫も必要です。また換気設備の近くにゴミ置き場があれば害虫の侵入リスクが増大するため、他の設備やスペースとの位置関係にも配慮しましょう。当然ながら通風口や排気口の真下に食品などが存在しないようラインや動線にも注意します。

室内の陽圧化

陽圧とは気圧が高いことを意味しており、空気の流れは気圧が高い方(陽圧側)から気圧の低い方(陰圧側)へと流れることがポイントです。

室内外を換気設備や通風ダクトで結ぶとして、室内が陰圧になり、屋外が陽圧になると、必然的に屋外から空気が流れ込んでくるという状態になります。そのため工場外からの害虫や害獣の侵入リスクを低減し、雑菌などを含んだ空気を適切に排気して除去するためには、室内を陽圧化して室内から屋外へと空気が流れるように気流の動線をコントロールしなければなりません。

排熱・排湿対策

食品製造工場では調理や乾燥作業によって熱が発散されたり、食材の水分が気化して室内の湿度が高くなったりします。しかし熱によって室内の温度が上昇しすぎれば従業員のストレスが強まる上に食材の品質にも影響し、また湿度の上昇はカビの発生や雑菌の増殖といったリスクを招きます。

そのため空調設備や換気設備を導入する場合、同時に排熱・排湿対策を行える機能を活用して、室温や湿度のコントロールをできるように考えることも必要です。

天井裏結露対策

通風ダクトに冷たい空気が流れると、周辺温度とダクトの温度差によってダクト表面へ周囲の空気に含まれる水分が結露しやすくなります。そのためダクトの表面に生じた結露が水滴として落下しないようダクトを天井裏に設置したり結露防止対策を施したりしなければなりません。結露は雑菌やカビといったリスクを増大させる要因です。

設計段階で設備について相談できる会社を選ぼう

空調設備や換気設備は単に装置を設置すれば良いというだけでなく、間取りや配置も考慮して導入しなければなりません。そのためHACCP対応の食品工場を実現させるためには、そもそも設計段階からHACCP基準を意識したプランニングが必要です。

そのためHACCP対応の空調・換気設備を検討する場合、設計段階から設備の相談をできる会社を選びましょう。