円安の影響や国際的な原油価格の高騰など、エネルギーコストの負担増大が継続しており、食品工場だけでなくあらゆる業界や施設において省エネルギー化(省エネ化)を実現してコスト削減を叶え、生産性を高めることが重要な事業課題の1つとなっています。
また、二酸化炭素排出量削減など環境負荷に配慮した生産体制を整えることはサスティナブルな社会の実現に向けた取り組みとしても大切です。
省エネ化には省エネ設備の導入のように初期コストがかかるものもありますが、日常的な取り組みで行えるものもあり、社内全体で省エネ意識を高めることが肝要です。
工場内の作業の安全性を維持するためには明るい作業環境を保つことが不可欠だからこそ、長時間使用する照明設備を省エネ化することで光熱費のコスト削減につながります。
また、長寿命かつ消費電力の少ないLED照明を導入するだけでなく、人のいない部屋や不要な照明はこまめに消すといった作業員の取り組みでも省エネは実践可能です。
食品工場において空調設備は食品・食材の衛生管理に重要な役割を果たしている上、作業員の労働環境を快適に保つ意味でも欠かせない要素です。
現代では省エネ性能を強化した空調設備や関連システムが開発されており、省エネ空調設備を導入することで温度や湿度のコントロールを自動化したり、エネルギー効率を高めて電気代を節約したりすることも可能となりました。
また国や自治体が省エネ設備導入のための助成金・補助金を用意していることもあります。
太陽光発電設備や蓄電池の導入といった、再生エネルギーを活用するシステムを導入することも、長期的なコスト削減や省エネ化を考える際には有効な対策の1つです。
太陽光発電システムは日中など太陽が出ている間しか発電することができませんが、蓄電池を併用することで日照量の少ない悪天候時や夜間でも電力消費をカバーできます。
工場の壁や天井、窓などに断熱材を導入したり、断熱性能に優れたガラスなどを採用したりすることで、断熱効果を高めて空調管理のコストを削減することが可能です。また市販の断熱シートなどを利用することもできます。
工場を新しく建設する際に断熱性に優れた建材を検討するだけでなく、改修・改築の際に断熱対策を取り入れるなど様々な方法を考えていきましょう。
食品工場の省エネ化によって工場を稼働するためのランニングコストを抑えやすくなれば、事業のコストパフォーマンスを高めることができます。また、費用面で余裕が生じれば原材料の高騰といった社会的リスクにも備えやすくなり、結果として収支管理を合理化して、企業として長期的な安定性の確保へつなげられることがポイントです。