食品工場建設で知っておくべき法律

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食品工場を建設する際には、法律についてもしっかりと確認しておく必要があります。そこでこちらのページでは、食品工場建設を行う際に関連してくると考えられる法律について紹介しています。工場の建築前に届出が必要なものもありますので、あらかじめ十分に確認しておくことが大切です。

工場立地法

「工場立地法」とは、大規模な工場建設を行う場合に敷地面積に対する施設面積と緑地の割合について定めている法律です。この法律は、環境破壊や公害を防ぎ、従業員や周辺に住む住民の生活環境を守るという目的で制定されています。

工場立地法に定められる特定工場にあたる場合、新設・増設を行う際には着工の90日前までに該当市町村長への届出が必要となります。ここでいう「特定工場」とは、「業種:製造業、電気・ガス・熱供給業(水力、地熱及び太陽光発電所は除く)」「規模:敷地面積 9,000㎡以上または建築面積 3,000㎡以上」の2つの条件を満たす工場が該当します。

都市計画法

工場を建設する際には、「都市計画法」が大きく関わってきます。この都市計画法では、好き勝手に建物を建てたり道路を通したりしないように、地域によって「建てられる建物」と「建てられない建物」を定めています。つまり、人々が健康で文化的な生活を送ることができるように、法律で計画的な施設整備や市街地の開発のあり方を定めています。

この都市計画法では用途地域が12種類あり、大きく住宅系・商業系・工業系に分けられます。このことから、もし工場建設に良いと思われる土地が見つかったとしても、都市計画法により工場が建築できないという場合もあります。

振動規制法

「振動規制法」とは、工場や事業所において事業活動を行う場合や建設工事を行うことによって発生する振動について、規制を行うための法律です。都道府県知事や市長・特別区長は、振動について規制する地域を指定しており、規制の対象ごとに異なった規制基準等が定められている点が特徴です。

指定内の地域で工場や事業所に特定施設(金属加工機械や圧縮機など)を設置する場合や、特定建設(くい打機やくい抜機を使用する作業など)を行う場合には届出を行う義務が課せられます。特定施設においては設置の30日前までに、特定建設作業は作業を行う7日前までに市町村長や特別区長に届出を行います。届出を行わなかった場合には罰則を受ける可能性があります。

騒音規制法

騒音規制法は、工場や事業所、建設作業から発生する著しい騒音を規制する、また自動車から発生する騒音の許容限度を定めることで、生活環境を保全し、健康を保護するために制定された法律です。都道府県知事や市長・特別区長は、騒音について規制する地域を指定しています(指定地域)。規制対象ごとに異なった規制基準などが定められているため、詳細の指定地域や規制基準などについては市・特別区・都道府県への確認が必要です。

また、指定地域内で工場や事業場に特定施設(金属加工機械や原動機を用いる織機など)を設置する場合、特定建設作業(くい打機やびょう打機などを使用する場合)を行う場合に届出を行います。特定施設の場合は設置の30日前までに、特定建設作業は作業を行う7日前までに市区町村や特別区長への届出が必要です。

省エネ法

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」は、建築物の省エネ性能の向上を図ることを目的とした法律です。大きく「規制措置」と「誘導措置」の2つに分けられます。そのうち、一定規模以上の建築物の新築・増改築を行う場合には規制措置の対象です。

規制措置の対象となる場合には、適合性判定や所管行政庁への届出などが必要となります。省エネ基準に適合していない場合には、建築基準法の確認済証の交付が受けられないため、注意しなければなりません。

食品リサイクル法

「食品リサイクル法」とは、食品産業に対して食品循環資源の再利用などを促進するために定められた法律です。この法律では、製造・卸売・外食など食品関連事業者においては食品の売れ残りや製造過程で発生する食品廃棄物を減少させること、また飼料や肥料の原材料としての再生利用を行う、という点について定めています。

また、食品廃棄物等多量発生事業者(前年度における食神廃棄物などの発生量が100トン以上の食品関連事業者)は、毎年6月までに食品廃棄物の発生量や食品循環資源の再利用などの状況について主務大臣に対する報告が義務付けられています。

大気汚染防止法

「大気汚染防止法」では、工場や事業場などの固定発生源から排出、または飛散する大気汚染物質について、物質の種類や施設の種類・規模ごとに排出基準等が定められています。これは、大気汚染物質から国民の健康を保護すること、また生活環境の保全などを目的として制定された法律です。

この大気汚染防止法で規制対象となっているものは、ばい煙、揮発性有機化合物、粉じん、水銀など、有害大気汚染物質、自動車排出ガスが挙げられます。

水質汚濁防止法

「水質汚濁防止法」とは、水質の汚濁を防止するという目的で制定された法律です。この水質汚濁とは、人為的な活動によって公共の水域(河川や沿岸海域など)が汚れることを指しています。

この水質汚濁防止法により特定施設(有害物質を含む汚水や廃液を排出する施設)に定められている場合には、使用した水を河川に放出するにあたって、物質の種類ごとに厳しい制限が設けられています。対象となる事業者は、特定施設等についての届出を行うとともに、排水基準等の遵守、排出水や地下浸透水の測定および記録、事故時の措置・届出、公害防止管理者の設置といった義務が課せられます。

悪臭防止法

一般的に不快なにおいを「悪臭」と呼んでいますが、「悪臭防止法」はこの悪臭について必要な規制を行うことで生活環境の保存、国民の健康保護を行うことを目的として制定された法律です。

規制対象となるのは規制地域にある全ての工場・事業所です(規制地域は都道府県知事、市および特別区の長が指定)。都道府県知事は「特定悪臭物質の濃度」または「臭気指数」いずれかの規制手法によって「3つの規制基準」を設定します。

悪臭の調査は、住民の生活環境が損なわれている場合に市町村および特別区の長が調査を実施します。ここで、規制基準に不適合であると判断された場合には、改善勧告・改善命令が発動されますが、命令に違反した場合には罰則が科せられることになります。

土壌汚染対策法

「土壌汚染対策法」とは、土地の土壌汚染を見つけるための調査や、もし汚染が見つかった場合に汚染により国民の健康に悪影響が生じないよう、土壌汚染のある土地において適切な管理方法について定めている法律です。

有害物質使用特定施設の使用の廃止時や一定規模以上の土地の形質変更の届出の際(土壌汚染のおそれがあると都道府県知事等が認める場合)、また土壌汚染によって健康被害が生じるおそれがあると都道府県知事等が認める場合に、土地の所有者等に土壌汚染状況調査の実施命令が発出されます。