食品工場のレイアウト

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食品工場のレイアウトは、生産効率を高めるだけでなく、徹底した衛生管理を実現するために重要な要素です。食品を扱う工場では、原材料の入荷から製造、出荷までの流れをスムーズにするだけでなく、交差汚染を防ぐ動線設計や、作業者の働きやすさを考慮したレイアウトが求められます。

ここでは、食品工場の基本的なレイアウトの種類や、食品工場ならではのレイアウトのポイントについて詳しく解説します。

食品工場のレイアウトの種類

ジョブショップ型レイアウト

ジョブショップ型は、同じ機能を持つ設備や機械をひとつのエリアにまとめるレイアウトです。精肉工場であれば「スライス加工エリア」「ミンチ加工エリア」「包装エリア」など、それぞれの作業内容ごとにエリアを分ける形になります。

ジョブショップ型レイアウトは、中小規模の工場や、さまざまな種類の製品を生産する工場に向いています。たとえば、お惣菜工場では、揚げ物、煮物、焼き物といった調理方法ごとに設備をまとめることで、効率的に作業を進めることができます。

ジョブショップ型のメリット

ジョブショップ型のデメリット

ライン型レイアウト

ライン型は、製造工程の流れに沿って設備や作業エリアを一直線に配置するレイアウトです。飲料工場やパン工場、冷凍食品工場など、同じ製品を大量に生産する工場で多く採用されています。

たとえば、パン工場では「生地の仕込み→成形→発酵→焼成→包装」といった流れでラインを設計し、工程ごとに機械や設備を配置します。原材料が一方向に流れるため、作業がスムーズになり、生産効率が大幅に向上します。

決まった製品を大量に生産する工場に適していますが、急な生産変更には対応しづらいのがデメリットです。

ライン型のメリット

ライン型のデメリット

セル型レイアウト

セル型レイアウトは、作業者の周囲に必要な設備を配置し、1人または少人数のグループで一連の作業を完結できるようにするレイアウトです。

たとえば、水産加工工場では、作業者が1つの作業台で「魚の切り身作業」「計量」「真空包装」まで行えるようにすることで、効率よく作業が進められます。特に少量多品種の生産に適しており、お弁当工場やデリカ工場などで採用されることが多いです。

セル型のメリット

セル型のデメリット

据え置き型レイアウト

据え置き型は、製品自体を固定し、その周囲に作業者や設備を配置するレイアウトです。食品工場ではほとんど採用されませんが、船舶や飛行機の製造など、大型の製品を扱う工場で用いられます。

食品工場の場合、大型の発酵食品や熟成食品を扱う工場で採用されることがあります。たとえば、大型の発酵タンクを使用するビール工場では、タンク自体を固定し、周囲に作業設備を設置することで効率よく製造が行われます。

食品工場レイアウトのポイント

食品工場のレイアウトを考える際には、「衛生管理」「作業の効率化」「安全性」の3つをバランスよく考慮する必要があります。原材料の搬入から加工、包装、出荷までの流れをスムーズにするだけでなく、交差汚染を防ぐ仕組みや、作業員が働きやすい環境を整えることが重要です。

交差汚染を防ぐ、衛生管理を徹底する

食品工場では、原料や製品の移動、人の動線、空気の流れなど、あらゆる要素が衛生管理に影響を与えます。特に、交差汚染のリスクを減らすために、レイアウト設計の段階で工夫をすることが大切です。

たとえば、生の食材と加熱後の製品が同じ通路を通ると、食中毒の原因となる可能性があります。そのため、加工前の食材の動線と、調理・包装後の製品の動線を明確に分けなくてはなりません。工場内のレイアウトを「清潔エリア」「準清潔エリア」「汚染エリア」にゾーニングし、異なる工程が交差しないように設計すると、より衛生的な環境を維持できます。

作業員の動線についても工夫が必要です。生産エリアに入る前に手洗いや消毒を徹底できるように、入り口に手洗い場やエアシャワーを設置すると、自然と衛生管理が習慣化されるでしょう。作業着の着替えを更衣室で行い、私服のまま作業エリアに入れないようにすることも重要な対策の一つです。

また、来客や物流のルートも考慮しなければなりません。たとえば、工場見学のための通路を生産エリアと分けたり、原材料の搬入口と製品の出荷口を明確に分離したりすることで、余計な接触を防ぐことができます。

作業の流れをスムーズにし、効率を最大化する

食品工場の生産性を高めるためには、作業の流れがスムーズになるようなレイアウト設計が必要です。工場内の動線を考える際には、できるだけ「一筆書き」のような流れを意識すると、無駄な移動が減ります。たとえば、食材の下処理エリアと調理エリアを近接させることで、移動の時間を短縮し、効率的な作業が可能になります。また、関連する設備を隣接させることで、作業者が頻繁に移動せずに作業を完結できるようにすると、余計な時間のロスを減らせるでしょう。

また、作業員のスムーズな移動を考慮することも大切です。狭すぎる通路では作業効率が落ちるだけでなく、事故のリスクも高まります。適切な通路幅を確保し、作業者同士がスムーズにすれ違えるようにすることで、快適な作業環境を実現できます。

物流動線を最適化し、スムーズな入出荷を実現する

食品工場では、原材料の搬入から製品の出荷までの物流をスムーズにすることも重要なポイントです。物流動線が適切に設計されていないと、作業が滞ったり、交差汚染のリスクが高まったりする可能性があります。

たとえば、原材料の搬入口と製品の出荷口を分けることで、工場内の混雑を避けることができます。搬入口では、原材料を適切に保管できるスペースを確保し、適温管理ができるようにすると、品質の維持にもつながります。

また、物流トラックの出入りをスムーズにするために、十分な駐車スペースや待機エリアを設けることも大切です。トラックがスムーズに移動できるように動線を整えれば、積み下ろし作業がスピーディーに行え、全体の作業効率が向上します。さらに、工場内のフォークリフトやカートの動線も考慮し、作業員と交差しないようにすることで、安全性を確保できます。特に、フォークリフトが頻繁に通るエリアでは、視認性の良いレイアウトを意識し、事故のリスクを低減することが重要です。

まとめ

食品工場は、人の体内に入る食品を製造する場所です。生産性や効率を向上させることも重要ですが、何よりも優先されるべきは衛生面です。衛生面をおろそかにすれば、異物混入や品質劣化といったトラブルにつながりかねません。万が一、食品の安全性に問題が発生すれば、企業の信用を損ない、最悪の場合は存続の危機に直面する可能性もあります。

だからこそ、食品工場のレイアウトを設計する際には、作業動線の最適化や交差汚染の防止、衛生ゾーニングの徹底など、細部まで配慮することが欠かせません。HACCPの考え方を取り入れた設計や、従業員が自然と衛生管理を徹底できる仕組みづくりも求められます。

そのため、食品工場を建設する際には、「どれだけ食品工場の建設に精通しているか」「実績が豊富か」といった視点で依頼先を選ぶことが大切です。食品工場特有の衛生基準や作業効率を理解し、最適なレイアウトを提案できるパートナーとともに、安心安全な工場づくりを進めることが成功の鍵となります。

当サイトでは食品工場建設のコンサルタントに監修いただき、食品工場建設で失敗しないために知っておきたいことを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。

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