HACCPの補助金について

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融資とは異なり、返済する必要のない補助金はHACCP導入の心強い味方。ここでは、国や自治体が中心となって行っている、HACCP導入のための補助金・支援の情報についてご紹介していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

HACCP導入で押さえておきたい補助金2選

HACCPハード事業とは

HACCP基準の設備を整えたい企業や事業者に対し、その取り組みを支援するのがHACCPハード事業です。ただし、このHACCPハード事業は支援の対象や事業内容が決められているため、あらかじめチェックしておくことが重要です。

スムーズに採択の基準と条件を満たせるよう、情報をしっかり確認しておきましょう。

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ものづくり補助金とは

HACCP導入の支援としても利用できる、ものづくり補助金とはどのような制度なのでしょうか。ここでは、ものづくり補助金の応募対象となる企業の種類、事業類型と補助上限金額などの情報をまとめました。

とくに事業類型と補助上限金額についてはいくつかの種類があり、やや複雑な部分もあるので、よく目を通しておいてください。

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ほかにもいろいろ。HACCP補助金

HACCP支援法

HACCP支援法とは、1998年(平成10年)に制定された法律で、正式名称は「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」。HACCP対応施設の整備を進めるため5年間という時限立法として制定され、5年毎に見直されているのが特徴です。

2013年(平成25年)6月には、中小企業が経営実態に応じてHACCP導入を進められるよう10年に延長。それと同時に、HACCP導入の前段階となる施設整備などを指す「高度化基盤整備」を支援対象とする改正を行っています。

※参照元:農林水産省「HACCP支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/koudou/what_haccp/haccp_law.html

このHACCP支援法では、高度化計画または高度化基盤整備計画の認定を受けた事業者が支援対象となります。支援対象となった事業者は、株式会社日本政策金融公庫による施設整備への長期低金利の融資を受けられるようになります。

参照元:農林水産省「HACCP⽀援法(平成10年法律第59号)の仕組み」(pdf)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/koudou/what_haccp/attach/pdf/haccp_law-31.pdf

ただし、高度化計画または高度化基盤整備計画の認定を受けるには、認定を受ける予定の品目に対して認定業務を行う「指定認定機関」が必要。指定期間は25機関あり、たとえば食肉製品であれば(⼀社)⽇本⾷⾁加⼯協会、乳および乳製品であれば(公財)⽇本乳業技術協会が認定を行います。

IT導入補助金(独立行政法人中小企業基盤整備機構)

IT導入補助金の正式名称は、「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」。独立行政法人中小企業基盤整備機構によって採択され、中小企業庁の監督のもとで一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運用を行っています。

IT導入補助金では、中小企業・小規模事業者が自社の課題・ニーズに合ったITツールを導入するための費用の一部を補助。企業における業務効率・売上アップを支援するものとなっています。

補助の種類と対象者

IT導入補助金には、通常枠(A・B類型)・デジタル化基盤導入枠・セキュリティ対策推進枠があり、補助対象となるのはソフトウェアやハードウェアの購入費・サービス利用料・クラウド利用費などの経費となります。

どの枠であっても、補助対象となるのは飲食・宿泊・卸・小売・運輸・医療・介護・保育サービス業・製造業・建設業といった中小企業・小規模事業者など。対象経費となるのは、通常枠であればソフトウェア費・クラウド利用料(最大1年)・導入関連費用となります。

補助金の上限・下限額、補助率

IT導入補助金の上限・下限額は、通常枠A類型で30~150万円未満、B類型は150~450万円以下、補助率は1/2となります。デジタル化基盤導入枠は5~350万円で、そのうち5~50万円以下の部分は補助率3/4以内、50万円超~350万円の補助率は2/3以内となります。セキュリティ対策推進枠では5~100万円が補助額、補助率は1/2です。

※参照元:IT導入補助金2022(https://www.it-hojo.jp/

HACCP導入セミナー

補助金ではありませんが、農林水産省では食品等事業者にHACCP導入の基礎・人材育成の知識を習得してもらうため、研修やセミナーの開催支援を行っています。

研修・セミナーは全国各地で行われており、一例を挙げると「今さら聞けない!JFS規格のための一般衛生管理&HACCPセミナー(規格・認証を活用した加工食品の輸出環境整備事業)」、「HACCPに基づく衛生管理に関する各種研修(HACCP認定加速化支援事業)」「HACCP指導スペシャリスト養成研修(HACCP認定加速化支援事業)」などを実施。無料の研修・セミナーもありますが、内容によっては有料のものもあります。

また、農林水産省ではこれまでの補助事業で作成した動画・資料といった、HACCP導入に役立つ学習教材をネットに掲載。小規模事業者等向けの教材として「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に関するe-ラーニング:(公社)日本食品衛生協会」、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理に関する学習教材:(一財)食品産業センター」「手引書の選択が難しい事業者の衛生管理計画事例集」など、HACCP導入の基礎を学べる教材が豊富に揃います。教材はダウンロードして利用できるため、従業員にHACCPを知ってもらうためにも活用できそうです。

HACCP補助金のまとめ

国や自治体などでHACCP導入に関する支援を行っていますが、「これからHACCPを導入しよう」と考えている企業が1から知識や仕組みを独学で学んだり、補助金についての情報を集めていくのは意外と困難。また、HACCPは企業や工場施設などに合わせて導入しなければならないため、運用しやすいシステムを考慮しなくてはなりません。

もし、企業や事業所内にHACCPに精通した人物がいない場合は、HACCAP導入に詳しいコンサルタントなどにアドバイザーを依頼するのもひとつの手段。自社に合わせたHACCAPの導入プラン作成のほか、適した補助金の案内や手続き、従業員向けのセミナーや勉強会を開催してくれるところもあります。

せっかくHACCAPを導入するなら、生産性の向上や企業イメージアップなどにもつなげたいもの。専門のコンサルタントであればそういった相談も可能となるため、ぜひ検討してみてください。